フェスごり

フェスティバル開催にあわせて刊行!

リンチ(戯曲)――三部作

羽鳥ヨダ嘉郎

リンチ戯曲――三部作

堺雅人(俳優)推薦!
戯曲と体を根底から突き詰める、類例のない作品集。

いぬのせなか座/2,500円+税
ISBN:978-4-911308-09-7
2026年6月10日刊行(予約で先行発送/会場にて先行発売)
四六判上製本クロス装 題箋貼り 124ページ
付録小冊子:平倉圭(芸術学)、細馬宏通(行動学)
装画:尼子騒兵衛「落第忍者乱太郎」より
装釘・本文レイアウト:山本浩貴+h(いぬのせなか座)

ご予約はこちら

見ること、触れること、支えることは、 いつ暴力になるのか――

国家で、共同体で、家で ゆがみ抗いながら発せられてきた言葉たちが この感覚を、体を、劇をかたちづくる。

歴史と地形、政治とケア、侵略と生活が 苛烈に殺到する「現在」に生み出された 戯曲三部作、ついに刊行。


◯堺雅人(俳優)

 この戯曲、僕はとてもじゃないが、ひとりで読めない。どんな声で、なにを思って喋ればいいか、わからないのだ。そもそも声にだして読んでいいセリフなのかも、わからない。  言葉の奥に劇的な世界がひろがっている予感がする。気になる。読みたい。理解したい。でも、本当によくわからない。  ここに書かれているのは、多分、仲間を必要とする言葉だ。ひとりでなく、みんなで読む文章。読んでいると、すぐに誰かの意見を聞きたくなる。自分の疑問をきいてほしくなる。調べたことを、だれかに話してみたくなる。みんなで相談したくなる。  この文章は、だから、ものすごく「演劇の言葉」なんだと思う。よみだした瞬間から、作劇は始まっているのだ、多分。


【三部作について】

三つの戯曲は、暴力を受ける身体、見世物にされる身体、手を貸してしまう身体を順にたどりながら、儀礼化・ショー・介助といった社会の技術を解体していく。 農村演劇から地政学、民俗、医療、植民地史、介護記録まで、異なる領域・時代・地域の知と苦しみが一つの戯曲のなかに折り畳まれる。 言葉は極度に圧縮・断片化され、意味の手前にある感覚と身振りが読む者の体に直接触れながら、いくつかのインフラを露出させていくだろう。 戯曲という形式を、さらには人体の経てきた歴史を根底から突き詰める、類例のない作品集。


【収録作品】

「リンチ(戯曲)」

小豆島の安田おどり、聖火の沖縄入り、クリオン島のハンセン病患者隔離施設での女子寮襲撃、南洋群島――寝たきりの「お袋」と介護する「素人」のあいだで、帝国が忘れんとする島々の記憶が圧縮・断片化し、噴き出す。第20回AAF戯曲賞大賞受賞作。

「同伴(戯曲)」

知念正真の戯曲『人類館』が「さる軍団」たちの紐と跳躍のなかで再び開かれる。猿まわし、タミル移民、人種握手会、通天閣――観客席もトイレもキッズスペースもすべてが上演内部に取り込まれ、見ることの暴力が見る者自身の知覚のなかで起動する。

「加担(戯曲)」

農婦、主夫、推し、サポ、同志、パパ。関係名で呼ばれる人物たちの家のなかで、綿ふき病、腎不全看護、満洲の上下水道、イスラエルによる水の武器化、占領下の性暴力が交錯する。ケアと連帯が、暴力と同じインフラの上を流れていく。


【著者】

羽鳥ヨダ嘉郎 Yoshiro Yoda Hatori
「リンチ(戯曲)」で第20回AAF戯曲賞大賞受賞。

同時刊行

リンチ(小説)

羽鳥ヨダ嘉郎

リンチ小説

いぬのせなか座/初刷限定価格1,000円(税込)
2026年6月10日刊行(予約で先行発送/会場にて先行発売)
並製 B6 80ページ(予定)
装釘・本文レイアウト:山本浩貴+h(いぬのせなか座)
※書影は制作中のものです

ご予約はこちら

「リンチ(戯曲)」を読む。語り合う。上演を想像する。
その過程が生み出した、もうひとつの「リンチ」。


ある日、ある場所に集まった幾人かの人々が「リンチ(戯曲)」を読み進める。 「素人」「お袋」「和船」「待っていた人」「グヮン」「野次」「絵が来ちゃう」といった言葉たちを拾い上げ、戸惑い、考え、やってみ、思い出し、確かめ合いながら、様々を少しずつ立ち上げていく。

そこで問われるのは、単なる「正しい解釈」ではない。 誰が話しているのか。何がト書きで、何が内語なのか。 どこまでが舞台上の出来事で、どこからが夢や回想なのか。 そしてそれをどう演じうるのか。 ――それらは読みのたびに揺れつづける。

次第にこの集まりそのものが、批評でも記録でもない、別の一篇の「小説」へと変わっていく。 約4万字の分量で描かれた固有の場、もうひとつの「リンチ」として。